開業日記

「シッシー。ブックカフェの開店準備がちっとも進んでないけどどこから手をつけていこうか?」
「そうですねえ・・。」
 シッシーは思慮深げに長い尾びれをひらひらさせながら、私の顔をしばらく見つめたあと、大きく右にターンし一回転した。そしてこちらを向くとゆっくり話始めた。
「やっぱり先立つものは金ですね。開業資金をためるどころか、現在貯金や投資に回している資金を今後生活費に取り崩していかなければならないような状態では、まともにやっていたら、いつまでたってもブックカフェなんて開業できませんよ。」
相変わらずこいつは痛いところを突いてくれる。
「やっぱり金は大事やなあ。ブックカフェなんかのんびりしたことをやろうというなら、そんなガツガツ儲けに走ることもできひんやろうから、なおさら金に余裕が欲しいな。」
ブックカフェなんて確かに全然もうからへんやろうけど、自分の一番やりたいものなのだからもっと粘って考えないと。いろいろ思いを巡らしていると、
「やっぱり副業でしょ。」
といきなりシッシーが言った。
「副業?副業やれってことかい?」
私は聞き返した。
「そうですね。というか今の仕事を辞めないということですね。
まず開業資金についても、今の仕事プラス副業でせめて副業分を開業資金あてるようにしてはどうですか。

 また、開業してからも、本業として今の仕事は続けて、副業としてブックカフェをすれば生活も安定してストレスなく、長くつづけられるのではないですか?」
 ということは開業しようとしまいと今の仕事は続けろということか。ブックカフェを開業すれば、今の不毛な仕事からは解放され、自分の裁量で使える時間が大幅に増えると思っていた甘い考えはあっけなく吹き飛ばされた。でも確かに手堅い考え方だ。
それではまず二つのことを考えてみることにする
①・開業資金をためるための副業として出来ることは何か?
②副業として開業して場合本業の合間で、どれくらいの時間店を開けることができるのか?